電車の中ですること。


新聞や本を読む気もしなくて、まわりの人が来ているスーツやコートの生地を見てる。
1枚の平面だったものが、複雑な立体を包んで、固有の姿に生まれ変わるのが、ある時とても面白く思えた。
技巧を凝らして作られた、大胆で細やかな特徴を持ったものたちに囲まれている環境に、はっとした。
生地の、縫いあわされたパーツ、ひとつひとつの形を見て、それらが作り出すシルエットを頭に描く。
生地に包まれている腕や肩や背中のラインを思い浮かべて、それらを包むパーツの形を確かめる。
形の意味を考えて、
例えば、柔らかな肩のラインを描くものと、張りのある適正なサイズの肩のラインを描くものの違いを考えたり、
襟の形や、大きく2枚で背中を包む生地の形、
肩甲骨の位置を捉えて切り出された形を型紙に描くデザイナーの姿を想像したり。
それぞれの生地が組み合わさる縫い目のライン、曲線の形、重なりあう順序、方向を見て、
それらを少しずつ動かして、
どうすれば、この人に合った一番きれいなシルエットで包むことができるかを想像する。
肩に沿った合わせはあと1cm後ろの方が、襟の位置はもう少し高く、拡げて少し大きめに。


なんて、考え出したらきりがなくて、パーツ、シルエット、パーツ、と何度も往復しているうちに
電車を下りてしまったり、会社に着いてしまったり。
ゆるい私服よりも、スーツやコートの方が考えていて楽しい。
なにに役に立つ過ごし方でもないけど、最近の気に掛かることでした。


昔、よかったと思っていたお店に久しぶりに行ってみると、
思っていたよりもそうでもないことが、最近何度もあって、
今日もちょっとあって、味のバランスが少しとがっていたり、接客が少し鼻についたり、
これはよくないことなのかどうなのか。。
別に否定や非難をする訳ではないのだけど、
そろそろ、しっくりくる新しい空間を探しに行きたいな、と足取り軽く出掛ける日々を思い浮かべました。
ほっとするような、いい時間を過ごしたいな、と思います。


あまりに寒いので、お湯を張って、しっかりあったまりました。
久しぶりに本がすすみました。
おやすみなさい。