僕がその人に見ていたものに、
本当になんでもないときに、ふと気付いてしまった。
見かけても、目の前にしても、どうして今まで気付かなかったんだろう。
あの時の気持ちは、きれいごとでも嘘でもなかったはずなのに。
だからもう、声を掛けることもない。


羊をめぐる冒険 (下) (講談社文庫)

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