劇団、本谷有希子 第13回公演 偏路


舞台をたくさん見に行く訳ではないけど、痛いくらいの感情の吐露は、舞台が一番受け取りやすい。
本谷さんの脚本の、救いようがないところに救われる。


この舞台を見てる人は、どんなことを思っているんだろう。
こういう苦しいことからは目を背けたくなくて、どうしたらいい方向に向けられるか、
どうすれば底まで嘘がなく人と付き合えるのか、をずっと考えていて、でも全然なくらないこの感情。
どんどん増えて深くなって、心が球のかたちだとすれば、表面のみはいつもどおりでも、
中身の全部が負であるときもたくさんある。
自分の都合で、自分の整理で、勝手に生きている。
心の深い部分は、人には見せられない。
きたなくて恐ろしい。
誰もがきっと持っているんだろうけど、相対して、嘘がなく、本音で付き合っていくことはむずかしい。
深く付き合おうとすると、仲良くなりたいと思うほどに、途中の段階でどんどん嘘になる。
自分が薄くなっていく。距離をとる。
もうこの循環はもう厭だ。


苦しさのかたちは人それぞれで、幸い、自分のまわりには強い人ばかりだ。
折れてる暇などないくらい、毎日がまぶしく過ぎていくから、
夜くらいは深くて暗いところにいてもいいかもしれない。


お遍路さんから旅人への連想は、見終わってから妙に納得した。