帰り道に視線の先を通り過ぎて、胸がくるしくなった。


恋をする気持ちがあっても、その人と思い描いたような幸せな日々を過ごせるとは限らなくて、
理性で判断できないこの感情が、脳のどこから生まれてくるのか、見当もつかない。


あたまでは整理がついていて、会えるとわかっていれば心の準備もできて自然でいられるけど、
ふいに目に映ると、こんなにも平静を保っていられなくなる。


一瞬前までは、職場の仲間と楽しく話せていたのに、
次の瞬間には、心を奪われて、
違う時間を過ごしていることの絶対の距離感に、なにも考えられなくなって、
まわりから心が閉ざしてしまった。


随分ふかくまで、好きになってしまった。


どうしたいというのは、全然ないんだけど、
昔と変わらないこの気持ちの動揺は、
2年も経つというのに、全然変われていなかった。


若くしてできる恋は、これが最後なのかもしれないな。


時間が経て、気持ちの整理もついてきて、もう平気だと思っていたのに、
こんなにも変われていない自分が、悲しくて、夜がとても暗い。