初めてきちんと付き合った彼女の部屋に最初に行ったときに、
時間を過ごすのがぎこちなかったのか、一緒に見たビデオが「海がきこえる」。
大家さんが持っている広い敷地の2階にあった部屋で、
晴れた昼間で、窓からよく陽が入って、
落ち着いたストーリーと淡いタッチの絵を、2人でぼーっと眺めていたのを憶えている。


喪失を悲しむ気持ちも大切だけど、深く関わっていなければそういう感情も湧いてこないし、
僕にはそこまで意識したことのある方ではなかったから、当然そんな風にはならなかった。
でも、ニュースで知ったときに、すっと聞き流す前に、まず浮かんできたのがあのシーンで、
こんなに遠い僕の人生のひとときに残る形を作り上げてその空間を包み込んでいることに、
そして僕の知っているのは一部で、もっともっと多くのものを残して、
たくさんの人たちの感情を動かし続けていたことに、敬意と感謝を感じたから、
プラスな思いは失礼なのかもしれないけど、そういう風な感じ方もありなんじゃないかと思う。
お話だったり、音楽だったり、作品だったり、
そんな確かなものじゃなくても、いつもの生活で関わるなかでのささいな一言だったり、
僕が消えてしまったあとでも、遠い人にそんな風に思い出してもらえることができたら、
空気に溶けて薄まりながら、生きていてよかったなあ、と思えたりするのかもしれない。
今だって、思うことだってたくさんあるけどさ。
なんだかよくまとまらないな。


それとは関係していないけど、思いを形に残すことに、改めて楽しさとやりがいを感じた出来事があって、
今日だけでできたことじゃないけど、ちょっとうれしかった。


熱いお風呂に入ろうと思ってたのに、たまった洗濯物を片付けていたらこんな時間になってしまった。
いつのことになるんだろう。。
代わりに、お風呂をきれいにしたから、明日ね。