ここのところ、家にいる間はずっと本を読んでいる。
まるいオレンジ色の明かりのそばで、日付が変わるのを惜しみながら、
いつの間にか意識が途切れるまで、頁を進める。
言葉に飢えている時期なんだろう。
変わっていく現実と、変わらない自分から目を背けて、
他人が描いた世界に浮かんでいたいのかもしれない。
仕事をする、本を読む。
最近はこの2つに分かれた時間が、自分の中で、しっくりくる。
それで気分が切り替えられるなら、それでいいのかもしれない。
ただ、切り替えられているだけで、切り替わっている間に隠れている気持ちは、
表の時でも裏の時でも晴れることはなくて、これからもしばらくなさそうだ。
今は、落ち葉がつもるように、雨が染み込むように、言葉を重ねていく。
口を噤んで、筆を止めて、じっとそれを閉じ込めて、その変化を眺めている。


アフターダーク (講談社文庫)

アフターダーク (講談社文庫)