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ラカーニャのオムレツは、僕のオムレツ史上でいちばんおいしくて、
キャンプに行って食べたような、少し味がつよくて、ふくよかであたたかな味がするんだ。
雨の日のライブは、どことなく居心地悪そうで、
いつものようにその場の空気を統べる主のような雰囲気はなく、心ここにあらず、という印象だった。
だめだったとかではなくて、いつもより親しげで、
今日は今日の良さもあって、スペシャルなステージではあったのだけど、
思うことがあったり、進む方向を変える上では、俯いて焦点を合わせないことだってある。
今日なんて、ライブをしている場合だったのかしら。
帰り道、これまでと少し違う後味に、自分の中でいつの間にか何かが変わっていたのを感じた。
次に来るときにはきっと、これまでとは違うように見に来ると思う。
- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/04/01
- メディア: 単行本
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