せっかくのハンバートのライブなのに、仕事のことがあたまから離れない。


意識が薄くなるとすぐに割り込んでくるどうしようのない思考の連鎖に、
陰を潜めていた空虚な部分が、むくむくと膨らんでいく。


集中力がないのか。


本当につまらないことなのに。
どうして放してくれない?
がっくりだ。


脳と呼吸を鎮めるために、ひたすら静かに走った。
裸眼だと、もう道路が見えない。
服の外にはもうあまり汗もかかなかった。
冷蔵庫には夕飯が用意してあるのに。