ハンバートハンバート 春公演『おいらの船』@渋谷 DUO - music exchange -



夜明けすぎの すべての色にグレーが混じる時間
踝くらいまでの草が地平線までずっと続いていて
目に映るのは 影のおちた緑と 光を帯びない朝露と 薄く雲がかかったどこまでも続く空


自分ひとりで立ち尽くしているのか 
となりで誰かが手をとってくれていてゆっくりと歩いているのか
目がひらいているのか 開いていても何も見ていないのか 
草の揺れる音と 風が耳を過ぎる音と
曖昧な薄い意識の中で 小さな音が少しずつ大きくなって 遠くの方から聴こえてくる


待ち時間、本も持ってきていなかったから、ずっと瞑想をしていた。
そのせいか1曲目の「喪に服すとき」を聞いている間、頭がぼやぼやとしていて、そんな風景が目に見えていた。


ハンバートのうたは、時にすごい神秘的だけど、
それは、悲しくて、弱くて、人間臭くて、穢くて。
そんな思いで作ったうたが、こんなにも心を動かすなら、
そんな思いで暮らす日々の中で生まれたものが、
自分の中にだけでも、ごく稀に死ぬまで忘れられないような記憶を残してくれるなら、
悲しみの中で暮らすことも悪くないと思えてしまう。
そして、みんながそういうものを持っていて、日々を暮らしていることを思うと、とても愛おしく思えてくる。
そんなところに惹かれて、この3年、ずっと支えてもらっている。
出会いに、出会わせてくれたことに本当に感謝してる。


遊穂さんは、うたっている間ずっと涙ぐんでいたように見えて、
良成さんは、悲しさを隠すためのぎこちない明るさなのかいつもよりかしこまって子供っぽく見えて、
2人で作ってきた歌を歌いながら、過ぎた別れを惜しむの恋人のようで、
ただの勘違いで、全然そんなことないのかもしれないけど、見ていて涙が出そうになった。
2時間のステージ、姿勢を正したまま、2人の姿に吸い込まれて、あっと言う間に過ぎていった。


遊穂さんのお子さんにも今日のうたも思いも、届いているのかな。
そう、生まれる前からステージに立っているって、すごいことだ。
みんな、あなたが健やかに生まれてくることを願っているよ。


夕飯は、閉店間際のオトノハで。
帰り際に、オムトンのCDをいただいた。
いろんなところで繋がっているなあ。
いつもありがとうございます。


帰って、久しぶりに、「天井」をウクレレで弾いてみる。
遊穂さんのようにかわいくはいかないけど、いい音。


洗濯して、片付けて、洗いものして。
もうこんな時間。
さて、週末のはじまりだ。