遠いところに身をおいて、時が過ぎていくのを静かに感じていたい気分。
ただこういう瞬間は、意図的に作り出しては意味の薄れるものなのかもしれないけど。


夏の日のお堂の縁側で、ぼくは、まわりの生き物たちに思い入りながら、
心の深いところまでおりていく。
今まで流れていた日常の曖昧な時間は、確かなものになって、強く少年の目に刻まれていく。


色使いも、表情の変化も印象的だけど、
自分が進化する瞬間が、絵本で表現されているのにおどろいた。
読むたび、そのときの気持ちで受け取り方が変わるんだろう。


書棚に入ってしまえば、大きな本の中にひっそりと埋もれてしまう1冊にも、
2次元に見える紙の中に、時間をこえて通じる深い想いの広がりが詰められている。


このごろの自分では、十分に感じ入ることはできないけど、読んでいて吸い込まれそうになった1冊。
自分では普段手に取らないものに、引き合わせてくれる。
大事な本を、どうもありがとう。


ぼくにきづいたひ (おはなしパレード)

ぼくにきづいたひ (おはなしパレード)